臭い玉(においだま)という言葉を聞いたことがありますか?日常生活では、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
では、咳やくしゃみをした際に手のひらに『白い粒』を見つけた経験はありませんか?
その白い粒を潰すと、あの大きさからは想像できないとてつもなくクサいニオイがします。
その『白い粒』が臭い玉(においだま)です。臭い玉は、その名の通りニオイがするので口臭の原因となります。
僕は職場で咳き込んだらマスクに白い粒が付いて、何か知らずにつまんだらとてもクサくて周りの人に嫌な目で見られてしまいました…。
もし恋人との大切な時間を過ごしている時、ふとした瞬間に『臭い玉』が出てきてしまったらどうしようと不安になったことがあります。
皆さんは、今までこのような体験はありませんか?
では、まず『臭い玉』について知るところから始めましょう。
目次
1.臭い玉(においだま)って何?なんで出来るの?
鏡の前で自分の口の中を覗いてみてください。
喉の奥の両脇に『扁桃腺(へんとうせん)』があるのはご存知でしょうか。風邪の時にパンパンに腫れて痛みが出る人もいますよね。
臭い玉は、この扁桃腺にある穴の中に溜まります。この穴は陰窩(いんか)と呼ばれます。
私は小さい頃から扁桃腺が大きく、中学生の頃に臭い玉の存在に気付きました。咳をした拍子に何かが口から出てきて驚いたことを憶えています。
扁桃腺は、異物や細菌・ウイルスなどの侵入を防ぐ役割を持っており、その扁桃腺には沢山の穴(陰窩)が開いています。
この穴の中に溜まった食べ物のカスや細菌の死骸が、臭い玉の正体なのです。
臭い玉の多くは、米粒大ぐらいの大きさです。うがいで知らない間に流されて無くなったり、食事の際に一緒に飲み込んだり、くしゃみや咳と一緒にポロっと出てくることもあります。中には小豆大ほど大きくなるものもありますが、気付かない人もいるほどで、臭い玉自体は体に害を及ぼすものではありません。
鼻や耳に垢が溜まるのと同じように、臭い玉も扁桃があれば誰でも自然に出来るものなのです。
2.どんなニオイがするの?
臭い玉には、口臭の原因となる硫化水素や糞便臭を発するスカトールなど多くの悪臭成分が含まれています。そのため、臭い玉を潰すととてつもなく不快なニオイがします。これが臭い玉と呼ばれる理由です。
3.どんな人に出来やすいの?
臭い玉は誰にでも出来る可能性があるとお伝えしましたが、次の特徴がある人は、より臭い玉が出来やすいため日頃から注意が必要です。
①扁桃腺の大きい人
扁桃腺が大きいということは、臭い玉が溜まる穴(陰窩)の数もそれだけ多いのです。また、臭い玉が溜まる穴(陰窩)の大きい人は、もちろん臭い玉が溜まりやすいです。これは、扁桃腺の形状の先天的な違いによるものです。
②口呼吸が多い人
鼻呼吸をすることで、鼻のフィルターによって口腔内に細菌が侵入しにくくなります。しかし、口呼吸が習慣となっている人は、直接喉に細菌が侵入するので臭い玉が出来やすくなります。
③口腔内が乾燥している人(ドライマウス)
唾液が十分に出ていれば、唾液によって自然と扁桃腺を洗い流すことができます。しかし、唾液の分泌量が少ない状態、いわゆるドライマウスは臭い玉が出来やすい原因となります。
④扁桃腺が腫れる風邪を引いた人(扁桃腺の炎症が起きたあと)
扁桃腺が細菌やウイルスによって炎症を起こし、細菌と戦っている状態が続くことで多くの細菌の死骸が出ます。細菌の死骸によって臭い玉が増加するのです。
⑤アレルギー性鼻炎や花粉症がある人
鼻炎による鼻詰まりで口呼吸が多くなったり、鼻炎薬の副作用で唾液の量が減ることで口腔内の乾燥が起き、臭い玉が増える原因となります。
4.マスク生活は臭い玉に影響する?
新型コロナウイルス感染症の流行で、日常的にマスクをする生活が当たり前となってきました。
さて、そのマスク生活は臭い玉へどう影響するのでしょうか。
マスクをしていれば加湿されそうだし菌も入ってこないし、臭い玉対策に良さそう!
マスクをするメリット
①口腔内が加湿され乾燥を防ぐことができる
マスクの中の湿度は70〜80%と言われています。
②口腔内への花粉や細菌、ウイルスの侵入を防ぐ
マスクをすることにより、物理的に異物の侵入を防ぐことができます。
マスクをするデメリット
①口呼吸が多くなる
マスクをした状態での鼻呼吸が苦しいため無意識のうちに口呼吸が多くなります。
②口腔内の細菌が増える
口呼吸が多くなることによる口腔内の乾燥が原因です。
マスクをすることで、臭い玉対策としてはメリット・デメリットがあることがわかりました。マスク着用でも口呼吸をしているとデメリットとなることもあるため、鼻呼吸を習慣づけられるように意識していきたいですね。
5.臭い玉への対策とは
口臭の原因ともなる臭い玉、どうにかならないの?
そもそも臭い玉は、自分の体が細菌やウイルスと戦ってくれた証拠です。多くの人々は食事や飲料が喉を通過する際、一緒に臭い玉も流れてしまうといわれています。
そのため、臭い玉をむやみに取り除くことはやめましょう。むやみに取り除くことで、かえって扁桃腺を傷つけ扁桃炎になることから更に臭い玉を増やすこととなるのです。
しかし、体質的に臭い玉ができやすい人はいます。過度に溜まると口臭の原因となるため、定期的に臭い玉への対策をしていく必要があります。
・こまめに水分をとる
水分をとることで、口腔内の食べ物の残りカスや細菌の死骸を流すことができます。また、乾燥を防ぐことで細菌の繁殖を防ぐこともできます。
普段からあまり水分をとる習慣のない人は、水筒やペットボトルで飲料を持ち歩いてみましょう。
・うがいをする
うがいにより、臭い玉を洗い流します。また、細菌やウイルスを洗い流すことで扁桃炎の予防となり、臭い玉ができることへの予防につながります。
また、うがいにより口腔内が加湿されることで、臭い玉ができることへの予防となります。
・鼻呼吸をする
口呼吸による口腔内の乾燥を防ぐために、鼻呼吸を習慣化させましょう。また、マスクをしていると自然と口呼吸になってしまうため、その際には意識することから始めましょう。鼻呼吸を意識するというよりは、安静時に口を閉じることを意識してみてください。
・よく噛んで食べる
食べ物をよく噛むことで唾液の分泌が促されます。唾液により臭い玉が洗い流されたり、口腔内の乾燥が改善されることで細菌の増殖を防ぎます。
・唾液腺マッサージをする
唾液分泌量を増やすことで、口腔内の乾燥を防ぎます。唾液量が減る高齢者の誤嚥を防ぐために、老人ホームや病院などでも行われているマッサージです。
誰でも出来る簡単なマッサージですので、今日から日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
【唾液腺マッサージの方法】
唾液腺マッサージは、食事前に行うとより効果的です。
唾液腺は『耳下腺(じかせん)・顎下腺(がっかせん)・舌下腺(ぜっかせん)』の3つから成るため、それぞれのマッサージ方法を説明します。
①耳下腺マッサージ
2〜3本の指を耳たぶのやや前方(上の奥歯あたりの頬)に当て、円を描くようにマッサージします。目安は10回程度です。
②顎下腺マッサージ
顎下腺は顎の骨の内側にある柔らかい部分です。顎のラインの内側にあるくぼんだ部分(3〜4か所)を耳の下から顎の下まで順番に押します。目安は各部分を5回程です。
③舌下腺マッサージ
舌下腺はあごの先の尖った部分の内側です。指で顎の真下から舌を押し上げるように、上方向へゆっくり押し当てます。目安は10回程度です。
いずれの部位においても、力を入れずに指で軽く圧迫するようにマッサージすることがポイントです。
・扁桃腺を摘出する
これはすぐにできる対策ではありませんが、根本的な問題を解決できます。臭い玉が溜まる原因となる扁桃腺を無くしてしまうのです。身体的侵襲は大きいため、扁桃炎を繰り返す人は医師と相談のもと検討してみてください。扁桃腺摘出は全身麻酔下で行う手術なのでリスクを伴います。
ちなみに、私は数年前に扁桃腺を摘出した経験があります。扁桃腺をとる前は、喉の奥に魚の骨がよく刺さりピンセットで取り除くことが頻回にありました。また、喉の奥に臭い玉を見つけたこともあります。扁桃腺をとってからは、勿論臭い玉に遭遇したことはありませんし風邪も引きにくくなりました。
他の方法に比べると、かなりハードルの高い方法ですが、扁桃炎を繰り返している人にはお勧めします。
6.出てきてしまった時の対処法
臭い玉を予防する方法をお伝えしましたが、誰にでも出来る可能性のある臭い玉ですので、予防していてもふとした瞬間に出てきてしまうかもしれません。
そんな時は、ティッシュペーパーやハンカチでさりげなく包みましょう。周りに不快なニオイを発さないように、なるべく潰さないよう気をつけてくださいね。
最近は常にマスクをしていると思うので、装着していたマスクに出てきた臭い玉を包んで、ささっと新しいマスクを装着し直すのも一つの手ですね。
7.まとめ
今回、喉の奥に溜まるクサイ白い玉の正体『臭い玉』について、溜まる原因と対策をお伝えしました。
歯磨きやうがいでも改善しない口臭、もしかしたら臭い玉の仕業かもしれません。
今まで気にならなかった人も臭い玉に悩まされていた人も、日頃からのちょっとした工夫で臭い玉のない生活を目指しましょう。
【監修者プロフィール】
第97回薬剤師国家試験に合格後、薬剤師としてドラッグストア併設の薬局で薬剤師・管理薬剤師を経験しました。
現在は化学系専門商社にて医療法務の業務(薬機法・景品表示法、医療法等)や化学物質管理業務に携わっています。
薬剤師の業務はもちろん、医療・健康分野にも豊富な知識を有しています。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
全ての記事が医療法務の専門家による厳しいチェックを受けております。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
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