目次
皆さんは自臭症という病気を知っていますか?
では強迫性障害ではどうでしょう?
実際に筆者の友人5人に質問してみたところ、自臭症を知っている人は0人、強迫性障害を知っている人は4人でした。
友人の中には医療系に従事している人が2人いたので、個人的に非常に驚きました。
また、強迫性障害を知っている人は意外と多い、と思った方もいるかもしれませんが、
「強迫性障害はどんな病気か説明できるか?」という問いには、
医療系の2人以外はうなずけなかったんです。
筆者はこの結果から、自臭症と強迫性障害は世間でほとんど知られていないのではないか?
と思いました。
しかし、その一方で、自臭症や強迫性障害に悩む人は増えてきている傾向にあります。
そこで今回は、
- 自臭症とは何か、強迫性障害とはどんな病気か
- この2つの病気にどんな関係があるのか
- 病気を疑ったときはどうすればよいのか
について詳しく見ていきたいと思います!
自臭症って?
突然ですが、まずは自臭症に悩む男性、Aさんの例を見ていきましょう。
Aさんは31歳の男性で、定職に就かず、家業である農業を手伝いながら生活しています。
元々は、高校卒業と同時に就職した自動車工場で、熱心に働いていました。
しかし、仕事は連日のように続き、非常に疲れた生活を送っていました。
約10年前(21歳の時)、同僚が会社で「誰かの口がクサい」という話をしていたのを聞いてしまって、とっさに自分のことだ…と思いました。
それからは
「人に迷惑をかけたくない」
「クサいことで同僚たちに嫌われたくない」
と思い、歯磨きをこまめにするなどの対策を行ったのですが、
同僚が自分と話すときに必ず横を向いたり、鼻をこすったりするようなしぐさを見せるので、自分の口臭はかなりひどいのだと確信しました。
疲労もありましたが、何より自分の口のニオイのせいで皆に迷惑をかけていると思うとつらくて、そのまま会社を退職しました。
退職後、口臭を感じることが多くなり、近くの歯科医院や内科を受診したものの問題ないと言われ続けました。
自分のニオイに敏感になるのは、よくあることだと思いますよね。
ただ、Aさんの場合、気になりすぎて仕事も辞め、病院に通い詰めるほどに深刻に悩まされているのです。
これでは、日常生活に支障が出てしまいます。
さらに、Aさんの体にはなんの異常も見られなかった、とあるので本当にニオっているのではなく、Aさん自身がニオうと「思い込んでいる」可能性があります。
このように、ニオイに敏感になりすぎて、
実際にニオっていないにも関わらずニオうと感じる
この状態を自臭症というのです。
自臭症がどんなものかなんとなく理解できたところで、Aさんがこの後どうなったのか見ていきましょう。
「診察してくれる病院を探し続け、24歳の時大きな病院の歯科を受診し、2~3度治療を受けました。それでも改善しなかったのですが、そこでお医者さんから「自臭症かもしれない」と言われ、その病院にある精神科を紹介されたんです。正直とても意外でした」
自臭症の患者は、自分のニオイに問題があると考えているので、精神に問題があるとは考えもつきません。
しかし、この病気はニオイを気にする行動を取り続けてしまう・・・
れっきとした精神疾患なのです。
また、自臭症は誰でもなる可能性があります。
Aさんの例では、仕事によるストレスと、職場でのうわさを耳にしたことが引き金となっているようですが、それ以外にも、過去のいじめや家庭問題、ニオイ以外のコンプレックスなども原因となると言われています。
強迫性障害って?
続いて、強迫性障害について見ていきましょう。
この病気もあまりよく知られていない病気なので、Bさんの例を参考にしていきます。
Bさんは、20歳女性で一人暮らしをしながら大学に通っています。
大学に入ったと同時に始めたアルバイト先ではよくミスをするし、勉強もうまくいかなくて、ストレスを感じていました。
しかも、大学に入学したときからコロナ禍で、休校やオンラインでの講義もあって友達作りもうまくいっていません。
半年前から、外出したら
「家の鍵をきちんとかけたか」
「キッチンのコンロの火を消したか」
など、家のことが気になって仕方がなくなりました。
考え出したら、泥棒や火事などの最悪の状況しか思い浮かばなくなって、いてもたってもいられなくなり、何度も家に帰って確認してしまいます。
最近はそんな自分に嫌気がさして、近くのスーパー以外にはほとんど出かけません。
バイトも遅刻が多くなってしまったことで辞めさせられ、
学校も休みがちになってしまいました。
Bさんも、かなり日常生活に影響が出ているようです。
「家の鍵をきちんとかけたか」
「キッチンのコンロの火を消したか」
という特定のことが気になり、何度も確認するまで治まらない・・・
このような状態のことを「強迫性障害」と言い、精神疾患の一つです。
強迫性障害では「強迫観念」と「強迫行為」という二つの症状があります。
「強迫観念」とは、その名の通り“強迫的な考え”のことで、安心したり確認したりできるまで延々と続きます。
Bさんでは
「家の鍵をきちんとかけたか」
「キッチンのコンロの火を消したか」
という考えやそこからくる、泥棒・火事といった想像がこれに当てはまります。
一方、「強迫行為」とは強迫観念を抑えるために何度も行ってしまう行動のことを指します。
Bさんは、「外出しても気になって何度も家に帰ってきてしまう」という行動があり、
これが強迫行為となっているのです。
強迫性障害も、自臭症と同様ストレスや過去のトラウマなどが
原因になりやすいと言われています。
Bさんの場合、初めての一人暮らしやバイト、
コロナ禍によるストレスはかなり大きかったと言えるでしょう。
自臭症と強迫性障害 どんな関係があるの?
ここまで、自臭症と強迫性障害がそれぞれどんな病気か見てきました。
話を聞くうちに皆さんはこう思ったことでしょう。
「自臭症と強迫性障害ってなんの関係があるの?」
ぱっと見の病名やイメージだけでは、どんな関係があるのか分からないかもしれませんが、二つの病気の例を見る中で、ある共通点がありました。
それは
- 精神疾患であること
- 同じ考え(強迫観念)や行動(強迫行為)を繰り返すこと
つまり、自臭症は強迫性障害の仲間であり、一部で、イコールの関係とも言えるのです。
病気かな?と感じたら
自臭症も強迫性障害も精神疾患であるので、最終的には心療内科や精神科を受診することが、一番の治療への近道です。
強迫性障害では、
「自分の行動がおかしい」
「何度も続く考えや行動を辞めたい」
と思う人が多いので、その気持ちを病院を受診することにつなげることが大切です。
そのために、「病気なのかも?」と感じたら
強迫性障害のチェックリストを行ってみるのがおすすめですよ。
自分に当てはまる項目を選んでいくだけで、
簡単に強迫性障害の可能性があるかどうかを判断してくれます。
このチェックリストは、病院のサイトに出されているものがたくさんあるので、
是非検索してみてくださいね。
一方で自臭症では、全く自分の考えのおかしさに気づかない人が多いと言われます。
「自分がクサい」としか考えられなくなってしまうからです。
その時は歯科医院や内科に行って一度自分のニオイがどれくらいなのかチェックしてもらうと良いでしょう。
また、Aさんの例のように、歯科医院や内科で自臭症であると診断されることもあるので、まずは医師に自分の感じ方などをきちんと相談してみることも大切です。
こうして、心療内科や精神科にたどり着いて、一体どんな治療をするの?
と思う方もいらっしゃるでしょう。
自臭症および強迫性障害の治療では、主に以下の二つのことを行います。
- 不安やそれから引き起こされる行動を抑えるための薬を服用する
- 自分の行動を理解し、「しなくても大丈夫だ」
という確信を持てるようにするための認知行動療法を行う
精神科の治療と聞くと不安に思われる方もいらっしゃいますが、薬の服用は他のどんな病気とも変わりませんし、認知行動療法もいわば治療的なカウンセリングのようなものです。
積極的に治療に取り組めば、この二つの治療で、十分治すことができますよ。
先程も言った通り、自臭症も強迫性障害も精神疾患である以上、心療内科や精神科でのきちんとした治療が必要です。
日常生活に支障が出る前に、一人でこの悩みを抱えてしまう前に、
チェックリストや病院の診察などを有効に使って、治療につなげましょう。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
全ての記事が医療法務の専門家による厳しいチェックを受けております。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
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