普段の生活の中で、自分や他人の口臭が気になることってありませんか。
しかし、私達が考えるよりも口臭は複雑で、必ずしもクサい理由が口にあるとは限りません。
多様な口臭の種類について詳しく調査し、口臭のクサいニオイの理由を突き止めてみたいと思います。
目次
食べ物や飲み物に由来する口臭
私達が摂取する食べ物や飲み物には、ニオイの強いものがたくさんあります。
それで悩むようなことはありませんが、人と会う前には控えたいものとしてご紹介します。
- アルコール
お酒を飲んだ後、アルコールはアセトアルデヒドという有害物質に変わり、肝臓で分解されます。
しかし、飲んだお酒の量が多すぎると、肝臓の代謝が追いつかずに分解しきれないまま血流に乗ってしまい、呼気となって口臭の原因になってしまいます。 - にんにく、ネギ
にんにくやネギには硫化アリルという成分が含まれており、その中のアリシンがあの独特なニオイの素になっています。
免疫力の向上や疲労回復に効果的な食べ物ではありますが、食べた後の口のニオイは気 になるところです。
にんにくやネギを食べた後に牛乳や緑茶を飲むと、ニオイを軽減する効果があるようです。
牛乳に含まれるたんぱく質や、緑茶に含まれるカテキンに消臭の効果があるからです。
誰にでもある生理的な口臭
病的な口臭に対し、生理的な口臭というものがあります。
誰にでもあり、ほとんどが唾液の分泌が減少することによるものです。
健康体の方にも見られることですから、それほど問題視する必要はありません。
- 起床時の口臭
眠っている間は唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなることにより、口臭が発生します。
寝ている間の口呼吸は、口の中の乾燥をさらに増長してしまいます。 - 空腹時の口臭
空腹時は胃酸の分泌が盛んになり、胃酸特有の酸っぱいニオイが呼気に混ざることによっ て、口臭が発生しやすくなります。 - 妊娠中の口臭
女性の妊娠時には、口の中だけでなく身体全体がバランスを崩しやすくなります。
さらにつわりにより空腹時間が長くなることで口臭がきつくなりやすいです。
ストレスの長期化や過緊張により、唾液が減少して引き起こされる「ドライマウス」には注意が必要です。
話しにくい、口の中のネバつきがひどいなど、症状が著しい場合は歯科口腔外科を受診しましょう。
病的な口臭の種類とクサい理由
では、病的な口臭とはどういった状態を指すのでしょう。
どんな所に原因があるかを調べてみると、様々な種類があることがわかりました。
歯石や歯垢
口の中には様々な種類の細菌が生息しています。
普段からしっかり歯磨きをする方でも、歯垢や歯石は溜まります。
まず、砂糖を元にして細菌がネバネバした歯垢を作り出します。
歯磨きで歯垢は落とせますが、歯と歯の間や歯の溝は磨き残しやすいです。
歯垢のニオイは、歯と歯の間に通した糸ようじを嗅いでみればわかりますが、「生臭いニオイ」です。
歯磨きで落としきれなかった歯垢は、個人差がありますが24〜72時間で少しずつ固まりながら歯石になっていきます。
唾液の中のカルシウムが歯垢に沈着して石灰化するのです。
石灰化してカチカチに固まった歯石は歯ブラシでは落ちないので、ずっとそこに細菌が住んでいるような状態になってしまいます。
その歯石が歯周病を引き起こすのです。
口臭のセルフチェックは簡単にできます!
大きめのグラスに息を吐いたものにフタをして、一度深呼吸をしてリセットしてからそのニオイを嗅いでみましょう!
歯周病
歯周病の独特なニオイは、「電車の同じ車両に歯周病の人が1人いるだけでクサいと感じる」と言われるくらい強烈です。
クサい理由は、歯周病菌の繁殖です。
正確には、歯と歯ぐきの間の“歯周ポケット“と呼ばれる袋の中で、細菌がガスを出しているのです。
このガスは、硫化水素やメチルメルカプタンという成分でできていて、「便のニオイ」とか「腐った魚のニオイ」と例えられます。
むし歯
痛みを伴うような深いむし歯の場合、歯の神経まで細菌の感染が進行しています。
すると、歯の神経が死んでしまい、腐敗したニオイが口臭と感じられます。
むし歯をそのまま放置すると、細菌がさらに増殖し、今度は歯の根っこの先に膿が溜まって膿の袋が大きくなってしまいます。
膿というのは、細菌と戦った白血球の死骸です。
膿の袋が大きくなると、外に膿を出そうとして歯ぐきに膿の出口になる穴ができて、中の膿が外に出てきます。
膿にも独特なニオイがあって、「生ごみのニオイ」と例えられることがあります。
また、痛みを伴わない場合でも、むし歯を放置している間に穴が開いて、その中に詰まった食べカスが発酵し、呼気に混ざってニオイを感じるようになります。
歯周病もむし歯も、寝ている間に細菌の繁殖が起こります。
寝る前に、洗口剤でブクブクうがいをして細菌数を抑えておくと予防に効果的です。
舌の汚れ
舌の表面が白くなっていたり黄色くなっていたりするのは、舌苔と呼ばれる舌の汚れです。
たんぱく汚れと、それをエサにして繁殖した細菌で、やはり口臭の理由になります。
一見、すぐにお手入れできそうですが、硬い歯ブラシでゴシゴシ擦ると、舌表面の味を感じる器官である味蕾を傷つけてしまいます。
歯磨きの際にはこまめにチェックし、お手入れには専用の舌クリーナーを使って、優しくなでるように取り除きましょう。
膿栓(ニオイ玉)
喉の奥のヒダの小さなくぼみから、頭を出している白い塊が膿栓です。
膿栓は咳やくしゃみをした拍子に外に飛び出すことがあるのですが、その塊を潰すと強烈な「ドブのようなニオイ」がします。
膿栓が発生する場所は、正確には扁桃と呼ばれ、細菌の侵入を防ぐためにあります。
付着した細菌の死骸が塊となって膿栓ができるのですが、自分で取り除くのは困難で、自己流では喉の粘膜を傷つけやすいので耳鼻咽喉科を受診しましょう。
予防するためには、ヨード系のうがい薬を使ってうがいをすることが効果があるようです。
また、口呼吸によって細菌の侵入や乾燥をさせないように心がけ、きちんと鼻が通るように体調を管理しておきましょう。
胃の不調
胃が弱っていると消化不良が起きて、未消化の食べ物が発酵したり腐敗したりすることによってガスが発生します。
このガスは「卵が腐ったニオイ」をしていて、口から吐いた息に混ざって嫌なニオイとして感じられます。
予防するには、激辛の食べ物や揚げ物の食べ過ぎを控え、規則正しい生活をして体調を整えることが大切です。
口臭のクサいニオイの理由は、喉や胃にもあったのかぁ・・・
ニオイにまつわるエピソード
歯科衛生士として勤務する中で、マスク越しに強烈なニオイを嗅ぐことも多々あります。
業務の中で経験した、忘れられないエピソードをご紹介します。
歯の治療に訪れた小学生のお子さんが、高学年になって段々と口の中をお母さんに見せなくなってきていることから、お子さんの口臭によってむし歯の存在を確信したお母さんが、その出来事をきっかけに※デンタルIQを高めたお話です。
※デンタルIQ・・・歯に対する知識や関心の度合い
自宅で過ごしている時に、「発酵したようなおかしなニオイ」がすることに気づいたお母 さんが、「自分の衣服や壁紙などをクンクンしてニオイの元を辿った所、昼寝している子 供の、開いた口の中からだった」と、“子供でも口臭がする”ということにとてもショックだったご様子でした。
お母さんの予想通り、歯と歯の間のむし歯にギュッと詰まった食べカスが、歯ブラシでは取れない状態になっていました。
幸いむし歯は乳歯でしたが、治療が終わってその歯が永久歯に生え変わってからも、ご家族皆さんで定期健診においで下さるようになりました。
さらに、あの出来事をきっかけにデンタルフロス(切って使える糸ようじ)や歯間ブラシなどの“歯と歯の間を掃除するアイテム”をご家族で難なく習慣化できるようになったのでした。
まとめ
今回の記事をまとめるとこんな感じです。
マスクをして生活していると、自分の口臭を感じやすくなります。
しかし、お互いにマスクをしていても、相手の口臭に気付くことは稀にあるのです。
やはり、自分でできるセルフケア、歯科などを受診して行われるプロフェッショナルケア、生活習慣の改善による身体全体の管理が大切です。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
全ての記事が医療法務の専門家による厳しいチェックを受けております。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
全ての記事が医療法務の専門家による厳しいチェックを受けております。