年齢を重ねると共に現れる加齢臭、職場や自宅で皆さんも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
あなたの大事な人からツーンとした不快なニオイがしてきたら皆さんはどうしますか?
そのことを相手へ正直に伝えますか?
昔からニオイには敏感で、その中でも加齢臭はどうしても苦手です。
いくら見た目が素敵な男性でも、その人からツーンとした加齢臭がすると気持ちが萎えてしまいませんか?
女性同士の集まりでも、ニオイについては定期的に話題になります。他の話題では意見はバラバラに分かれるものの、ニオイに関しては全員の意見は一致して「クサイ人は無理」です。
男性側もきっとそうですよね。
しかし、悲しいことに加齢臭はどうしても出てしまうもので、付き合いたての頃には良いニオイだった彼も気付いたらクサいなんてことも。
また、毎日一緒に働いている同僚や上司からある日、突然ニオイがしたら…あなたはどうしますか?正直に相手へ伝えますか?
目次
ニオイは自分で気づきにくいもの
そもそもニオイは自分では気づきにくいものです。
その根拠として、医学的に順応、馴化(じゅんか)といわれる作用が働くからです。
順応
人は同じニオイを長い期間嗅ぎ続けると、嗅覚の刺激により感覚神経細胞が興奮し続け、疲労してそれ以上興奮することができないようになります。
つまり、そのニオイの感じ方が弱くなる嗅覚の順応と呼ばれている作用が起きます。
馴化(じゅんか)
順応が起きた後、最終的にニオイそのものに馴れてしまいわからなくなります。このことを「馴化(じゅんか)」いいます。
この順応と馴化により私達は毎日嗅いでいる自分のニオイを感じにくくなってしまいます。
例を挙げると、日本人は納豆を食べる文化があるため美味しく納豆を食べることができると思いますが、食べない文化の海外の人からすると慣れない納豆のニオイはかなりクサく感じるようです。
私達が海外へ行くと異国の香りを感じるのも、慣れないニオイを感じているからです。
こうして、私達は知らないうちに慣れたニオイを感じにくくなってしまっているのです。
また、嗅覚は記憶と強く結びついており、その中でもクサイといったネガティブな記憶ほど残りやすい傾向にあります。
どうやって伝えるか
「ニオイは自分自身では気づきにくいもの」ということがわかりました。
確かに加齢臭も本人が気づいていれば、何かしら対策がされているはずです。
本人が気づいていないがために、周囲の人が職場や家族間で加齢臭に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
では、自分では気づきにくいクサイ加齢臭をどうやって相手に伝えるかを考えていきましょう。
言葉で相手へ伝える
一番シンプルな方法で相手へ伝わりやすいですが、伝え方には注意が必要です。
もし自分が「あなたは加齢臭がするよ。クサイですよ」と伝えられたらどんな気持ちになるでしょうか?
ほとんどの人が嫌な気持ちになるのではないでしょうか。
もし、伝える相手が自分の家族なら「お父さん、最近クサイよ」「ねぇあなた、最近臭うんじゃない?」といったようにわかりやすく伝えても良いと思います。
しかし、職場の同僚や上司、友人には相手のことを想うとそんなストレートな言葉では伝えられないと思います。
そんな時は、以下の方法があります。
① 同性の友人に伝えてもらう
異性から「クサイ」と言われるのと、同性から「クサイ」と言われるのとでは受け取る側の気持ちが変わってくるのではないかと思います。
もしも言葉で伝える場合、その加齢臭が気になる同僚や上司が異性であったら、代わりに同性の同僚や友人に伝えてもらった方が良いでしょう。
② 子どもに伝えてもらう
子どもに伝えてもらうという方法は、かなり効果的だと筆者は思います。
病院の小児科での勤務経験があるのですが、子どもはとても正直です。
ニオイに対しても敏感で、感じたことを正直に言葉で伝えます。
ある時、仕事中に小学生の男の子から「○○さん(同じ職場に勤めるスタッフ)は何か変なニオイがするから苦手」
と言われたことがあります。
その時、自分もニオイには気をつけようと改めて思わされました。大人に言われてもあまり引っかからない言葉も純粋な子どもに言われると、何だかハッとさせられますよね。
家族間で夫へ伝えにくい場合は、子どもに「お父さん、クサイよ」と伝えてもらう方法は効果的かもしれません。その場合、お父さんを傷つけないようお母さんはサポートしてあげてくださいね。
言葉以外で伝える方法
これまで言葉で伝える場合の例をお伝えしました。しかし、特に伝える相手の年齢が若い場合は、相手が傷付く可能性が高いため、なるべく他の方法で伝えた方が良いのではないかと筆者は思います。
なぜなら、若い年齢で「加齢臭」を指摘されるほど悲しいことはないからです。
相手に直接クサイと伝えることに抵抗がある方は、以下の方法をお勧めします。
① 良い香りのする品を贈る
伝えたい相手の誕生日や御礼をする時の品に良い香りのする物を選んで、遠回しに伝える方法です。
勘の良い人なら「良い香りのする物を贈られたということは、ニオイに気をつけた方が良いのかな」と気づいてくれるかもしれません。
勿論、言葉で伝える方法より伝わりにくいとは思いますが、より相手を傷つけずに伝えられるという点ではお勧めできます。
良い香りのする品の例としては、
- ボディミスト
- ボディクリーム、ハンドクリーム
- 香水
- スキンケア用品
などが挙げられます。
ただし、強い加齢臭に対して更に強い香りの香水を重ねると、よりクサくなってしまう場合があるため注意が必要です。
また、強い香水のニオイが苦手な人もいるため香りが強ければ良いという訳でもありません。
加齢臭に対しては、清潔感のある石鹸の香りがお勧めです。贈る相手が家族やよく会う同僚なら、自分の好きな香りを選んでも良いですね。
加齢臭を改善する方法として、まずは清潔を保ってほしいためスキンケア用品もお勧めします。
加齢臭に気づけていない人は、普段から良い香りのする物を身につける習慣がない人が多いと思います。そのため、あなたから良い香りのする物を贈られたことをきっかけに身だしなみに気をつかうようになり、加齢臭に気づくことへも繋がるのではないでしょうか。
② 会話の中で自分がニオイに敏感なことを相手へアピールする
相手に変わってもらうために、自分のことを伝える方法です。
普段の何気ない会話の中に以下のような話題を取り入れると、より自然に相手へニオイ対策のことを伝えることができます。
最近のマスク生活で助かったこともありますよね。私はニオイに敏感で電車内でも他人の体臭が気になってしまい、相手のニオイが強いと気分が優れなくなってしまうこともあるんですよね。
私の場合は、今まで感じなかった父親の加齢臭が気になってしまって、同じ洗濯機で衣類を洗濯することにも抵抗があります。
このような発言を同僚や上司との会話の中に組み込んでみることで、自然と自分の気持ちを伝えることができます。
他人が指摘されていることで、我が身を振り返ってもらうきっかけを作る有効な方法です。
③ 良い香りが好きなことを物でアピールする
デスク周りや身につける物に良い香りのする物を取り入れることで、『この人は日常的にニオイに対して気にかけているのだろう』と相手に思わせる方法です。
相手に合わせることが得意な人なら、きっと向こうもニオイに対して気にかけてくれるようになるはずです。
④ 身だしなみについての勉強会を開催する
これについては、家庭での実施は難しいと思いますが職場では有効な方法です。
自分が開催しても良いですし、他の人の協力を得て実施することも可能だと思います。
一個人へ伝えるのではなく集団へ伝えることで、加齢臭に気付いてほしい本人へは勿論、加齢臭予備軍の人々へも予防策として知識を伝えることができます。
ニオイは加齢臭だけでなく、口臭、たばこ臭、きつい香水臭などもあります。身だしなみの勉強会として開催すれば、加齢臭以外の内容についても伝えられる機会になります。最近は、スメルハラスメントという言葉もあるようで、ニオイを気にかけることは社会人としての身だしなみとしても必要なことと考えられます。
⑤ 職場の担当者に相談する
職場環境を整えるのは課であれば課長ですが、その課長が加齢臭を出している可能性もありますよね。直属の上司に加齢臭について直接伝えることは、かなり勇気がいることだと思います。
しかし、気になる加齢臭を我慢する必要はありません。職場の総務部門、人事部門には、きっと各種ハラスメントの担当者がいるはずです。
その担当者に「今まで、こういった対策をしていましたが…穏便、内密にしてもらえませんか」と相談するのも一つの方法です。きっとその方が上手く処理対応してくれるはずです。
まとめ
今回、相手を傷つけずに加齢臭に気づいてもらう方法についてお話ししました。
ニオイは自分では気づきにくいものです。
しかし、そのニオイで知らないうちに周りの人から距離を置かれてしまう…なんてこともあるかもしれません。そんな悲しいことが起きないためにも、他の人がそのニオイを気づかせてあげることが相手を思いやる上で必要なことではないかと思います。
方法としては、
・言葉で相手へ伝える
・良い香りのする品を贈る
・会話の中で自分がニオイに敏感なことを相手へアピールする
・良い香りが好きなことを物でアピールする
・身だしなみについての勉強会を開催する
・職場の担当者に相談する
を挙げました。
加齢臭は、人によってはかなり不快に感じるものです。皆が気持ち良く過ごすためにも、加齢臭が強い方には出来れば改善してもらいたいところですよね。
加齢と共に誰にでも発生する可能性のある加齢臭、大切な家族や友人を傷つけないためにも相手を思いやりながら気持ち良く対策できるといいですね。
【監修者プロフィール】
第97回薬剤師国家試験に合格後、薬剤師としてドラッグストア併設の薬局で薬剤師・管理薬剤師を経験しました。
現在は化学系専門商社にて医療法務の業務(薬機法・景品表示法、医療法等)や化学物質管理業務に携わっています。
薬剤師の業務はもちろん、医療・健康分野にも豊富な知識を有しています。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
全ての記事が医療法務の専門家による厳しいチェックを受けております。
僕は、中年になって自分から発するニオイに気づかず、仕事やプライベートでの失敗を数多くしました。
当時は、ネットも今ほど充実しておらず、「ニオイで病院に行く」という発想もありませんでした。
人間は誰しもが老い、そして加齢臭は避けては通れない道なのです。
僕と同じように加齢臭が気になった人たちへ、良い情報提供をしようと特に加齢臭・口臭等のニオイに特化したサイトを立ち上げました。
ライターは看護師、薬剤師、歯科衛生士、医学部学生等医療関係者等による記事です。
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